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「真四角」はコンテンポラリーアーティストの山口真人が漢字を通じて東洋の価値観、精神性を表現するプロジェクトだ。

漢字は中国を起源に東アジアの国々で独自の発展を遂げ、それぞれの文化を彩る視覚エレメントだ。象形文字から発展した漢字は、私たちの中で文字を追うのではなく、形を見るとその文字が伝えようとしていることを感じ取ることができる共通のイメージで、漢字は東洋の精神性の帰着点ともいえる。現在の日常生活で溶け込む東洋文化の根源的なアイコンだ。

「真四角」は漢字の持つ独特な世界観を表現するために、独自の漢字をデザインしている。紀元前に始皇帝によって広められた中国の篆書、江戸時代に日本の染色職人によって生み出された角字に影響を受けている。両者に共通していることは水平・垂直に書体が設計されていることだ。現代人は筆やペンを失い、デジタルディスプレイにグリッド上に配置されたピクセルを読み、書く。「真四角」の漢字デザインは篆書・角字の持つ複雑さを省き漢字を認識できる最小のグリッドでピクセル上に書体を設計し、デジタル化された現代社会を象徴しているようだ。

「真四角」は「色」と呼ばれるシリーズを制作している。「色」とは、形(form)、色(color)、美しさ(beauty)、外観(appearance)、現象(phenomenon)を示す仏教用語であり、この概念はアジアの仏教の影響を受けている各国で広く共有されている。原始仏教の考えでは人間や動物、植物、また生命のない物質まで、あらゆる存在にヒエラルキーはないと考える。全てのモノ・コトは平等に価値があり、同時に全てのモノ・コトは関係を持っているという哲学的な側面を持つ。原始仏教の哲学に魅せられたアーティスト・山口真人が「色」の世界観を具現化する。 哲学・文化的テーマを通じて表現をしている。 死・生・宗教・民族・ジェンダーなどのテーマを音楽、ポップカルチャー、ファッションなどの文化的コンテクストと掛け合わせ作品を制作している。 現代ではインターネットの発達で、個人が文化・知識を自由に取得できるようになり、カルチャーと「土地」の乖離が進んでいる。そんな多様性が加速する時代における、「ヒエラルキーのない世界」を山口真人はアートを通じて実現しようとしている。