Trance Reality
Trance は「向こう側の」の意味。Trance Reality は日本語で言えば「かの世」(この世でもあの世でもない)。人間と機械、物理空間と仮想空間、西洋と東洋、生と死、実存と虚像、それぞれの反対側、または中間に現実が在るという思想だ。「色」に続き原始仏教の「空」の影響を強く受けている。すべての物質や現象を示す「色」の上位概念は「有」である。「空」とは「有」と「無」の上位概念となる。Trance Realityは「有」と「無」の両者、またはどちらにも属さない表現を目指している意味で「空」に近い表現を目指している。 Trance Reality は2018年10月頃から構想が始まり、2019年1月から制作がスタートしたシリーズ。
History
初期
人間を観るためには人間とは別の視点から人間を観る必要がある(絵画の「Trance」)と考え機械が人間を観察する装置としてMr.HEADのAI化を進める(Mr.HEADTH3-002AI)。同時に絵画の描画機 Mr.HEADTH3-001LENA を開発する。初期は機械を主体としたコンセプトとして本シリーズを「Humanity」と呼んでいた。オンライン上から画像データを自動収集をしイメージをドットに分解、描画のフローを構築した。しかしながら、自動的に描かれる絵画は色彩・構図等、とても美しいものとは言えず、描画方法や色分解のアルゴリズムを印象派の画家(主にスーラ)を参考にアルゴリズム化を行う。しかしながら完成した作品はどれも虚像のようにグロテスクで作品と呼べるものにはならなかった。それ後アップデート版、Mr.HEADTH3-003KOTATSU を開発、徹底した色彩コントロールを行い4ヶ月の試行錯誤の末ようやく処女作、Her eyes were hollowlyを完成させることとなった。
Works
Mile Stone
- Mr.HEADTH3によるゼロベースのペインティングの実現
- スタイルの完全アルゴリズム化
- 複数イメージを参照したゼロベースのドローイング
- モチーフの選定機能
Influence
絵画表現
山口は一枚の作品に多様なルーツを混在させることを好む。山口の表現の基礎はRichard Princeを代表するシミュレーショニズムにある。インターネットからサンプリングした画像を再現していくことが山口の表現のスタートとなる。色彩表現に於いては印象派の画家やRoy Lichtenstein の表現を取り入れている。特に色彩をアルゴリズム化にはGeorges Seuratの点描の色分解のメソッドを活用している。また、絵画を抽象化する手段として、Jackson pollockのaction paintingを参考にしている。チューブを通った絵の具が不安定に落下することでドットは、ドット同士が結合をしたり変形をし、抽象化されていく。
Engineering Staff
- Technical Direction, Electrical work, Hard engineering : Hikaru Hongu
- Drawing Programming : Yoshiyuki Kano
- Platform Programming, Hard engineering Assistant : Masato Yamaguchi
- Electrical work Assistant : Kei Kawakami